第一回研究会リポート
第一回大岡研究会は、2014年9月28日、60名近い参加者を得て、神奈川近代文学館で開かれました。はじめに会長の西川敏晴氏から、「大岡信の仕事は分野が広く、かつ深い内容を持っている。その豊かな仕事へのアプローチは様々であり、この研究会が大岡信の本を読みなおす機会となれば」と挨拶があり、茶話会のような寛いだ雰囲気の中、研究会はスタートしました。
記念すべき第一回目の研究会は、「折々のうた アンソロジストとしての大岡信」と題した俳人・長谷川櫂氏の講演。大岡信に若い頃から親炙しているという長谷川櫂氏は、講演の冒頭で、「星雲のような大岡信の広範にわたる仕事の背景には、自由な精神がある。今後、発表者が、ダイヤモンドカットのように多角的に大岡信の仕事を追及していくのがこの研究会の仕事ではないか」と期待を込めました。
講演は、大岡信の代表作ともいえる『折々のうた』の歴史的意義と、「ことばとは何か」を常に追求するアンソロジスト大岡信が、どのような考えに基づいて詩歌を選んでいたかに言及。また、日本の詩歌アンソロジーを東アジアの歴史の中に据えてダイナミックな文学史を展開するなど、これからの研究の糸口になり得る刺激に満ちた講演となりました。 渡辺竜樹(大岡信研究会会員)