朝日新聞記者赤田康和さんが、大岡信夫人深瀬サキさんへのインタビューをまとめた連載「大岡信、詩人とその素顔」の第4回が「現代詩手帖」1月号に掲載されました。1973年大岡信が「季刊すばる」に「うたげと孤心」を書き始めた頃から、1979年の「折々のうた」の開始、81年の米国ミシガン州のオークランド大学滞在期頃まで、夫人の視点から大岡信の姿が浮かび上がります。是非お読みください。
お知らせ:大岡信の「書誌画像」掲載
サイトのメニュ欄に大岡信の主要著書の表紙写真(書誌画像)を掲載しました。一覧表は圧縮画像になっていますが、それぞれの画面をクリックすれば、各書籍の表紙全体が見られます。また表は1~3まであり、スライドショーでも見られます。大岡信の主要な著書の装丁をご覧ください。
お知らせ:「詩人・菅原道真 うつしの美学」が岩波文庫に
大岡信の代表的な評論の一つ、「詩人・菅原道真 うつしの美学」が岩波文庫となり、10月15日に発行されました。蜂飼耳さんが素晴らしい解説を書かれ、最後に「菅原道真を現代に連れてくる。大岡信はそのように書くことのできる人だった。稀なる力だ。このことを、改めて心に留めたい。」と結んでいます。是非ともお読みください。
お知らせ:しずおか連詩の会(11月15日(日)14:00~裾野市民文化センター)
1999年に大岡信が始めた「しずおか連詩の会」は、その後毎年開催されています。今年は裾野市民文化センターで11月15日(日)14:00(開場13:30)に開催されます。連詩には、詩人の野村喜和夫(第六回研究会講師)、批評家の三浦雅士(第八回研究会講師)、俳人の長谷川櫂(大岡信研究会運営委員)、音楽家・詩人の巻上公一(第1回大岡信賞受賞者)、詩人のマーサ・ナカムラが3日間で40篇の連詩を制作します。本会ではできたばかりの連詩を詩人たちが自ら朗読し解説します。この会への視聴参加は事前申し込み制です。グランシップチケットセンターへ電話またはグランシップで検索ください。主催者側の注意事項をご確認の上、ふるってご参加ください。
2021年度大岡信研究会への入会および会員継続のご案内
大岡信研究会では2021年(会期は2021年1月1日~12月31日)の会員を募集しています。
会員には、一般会員、学生会員、賛助会員があります。
会員は、①年3回開催される大岡信研究会への参加費が無料になります。②毎年末に発行される会誌「大岡信研究」が無料で郵送されます。③会員は、会誌に寄稿できます。但し、寄稿の採否は編集部が決定します。
学生会員は、30歳以下の学生とし、課程、学年を問わず30歳以下であれば学生の資格になります。
各会員の年会費は以下のとおりです。
年会費:一般5000円、学生2000円、賛助会員一口10000円(一口以上)
会員の申し込みには、郵便振込用紙に、会員の種類、氏名、住所、電話番号、Eメールアドレス(お持ちの方)、また学生会員で申し込まれる方は生年月日および大学名・学科を明記して、会費を下記の郵便口座にお振込み下さい。
郵便振替口座:00150-8-450238 大岡信研究会
2021年度会員に新規にお申し込みの方には、至近の会誌「大岡信研究」1冊を無料で差し上げます。
年の途中での入会も会費は同じです。会員名簿は事務局で厳正に管理します。会員証等は発行しません。
2021年度に継続される会員は、2020年12月20日までに2021年度会費を下記の口座にお振込み、継続の手続きをおとり下さい。ご支援のご継続、真にありがとうございます。
郵便振替口座:00150-8-450238 大岡信研究会
お知らせ:毎日新聞大井浩一記者筆「大岡信と戦後日本 『へるめす』の周辺㉙」
毎日新聞の連載の大井浩一記者の「大岡信と戦後日本」29回目は、10月7日夕刊に掲載されました。80年代の大岡信の活動、「折々のうた」の定着や、岩波書店発行の季刊誌「へるめす」における大岡信の組詩など、当時の大岡信の仕事の充実ぶりが語られています。特に大岡の「社会的なもの扱う」方法に焦点を当てていることに興味がもたれます。是非お読みください。
お知らせ:現代詩手帖9月号から「新連載 大岡信、詩人とその素顔」(聞き手・構成:赤田康和氏)
詩の月刊誌「現代詩手帖」9月号から、赤田康和氏(朝日新聞記者)による、大岡信夫人のかね子さん(劇作家 深瀬サキ)へのインタビューを構成した「大岡信、詩人とその素顔」を掲載しています。大岡信とかね子さん二人の出会い、それによる詩の誕生など、詩人の最も近くにいたかね子夫人の肉声が聞こえてきます。すでに2回目の10月号も出て、11月号にも掲載されます。是非お読みください。
第十八回大岡信研究会「大岡信『文学的断章』をめぐって」講師:堀江敏幸氏(作家)
大岡信研究会は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、5月に堀江敏幸氏を講師に迎え予定していた第十八回研究会を延期し、その再開を検討した結果、9月20日にズームを利用した研究会を成功裡に開催した。講師の堀江氏は、芥川賞はじめ多くの賞を受賞している作家であり、フランス文学者で、大岡信の『紀貫之』(ちくま文芸文庫)に解説を書かれている。堀江氏は、大岡が第二次『ユリイカ』創刊号(1969年7月号)から1979年5月号まで連載した「文学的断章」をまとめた6冊の書物(『彩耳記』、『狩月記』、『星客集』、『年魚集』、『逢花抄』、『宇滴集』)を取り上げた。「文学的断章」は、これまであまり論じられてこなかったので、今回の講演は大岡信の新たな側面に光を当てる絶好の機会となった。
堀江氏の大岡との出会いは、受験参考書などで大岡の文章に触れていたが、本格的に読むようになったのは「折々のうた」という。それを読むために、中日新聞に加えて朝日新聞を購読するよう家族会議を開いたという岐阜での高校時代、堀江氏は「折々のうた」に展開される、評論のようであり詩のようでもある、柔軟な流れや繋がりをもった書き方を読者として体験したと語った。
断章形式は、フランス文学においては、モンテーニュの『エセー』やパスカルの『パンセ』、ポール・ヴァレリーの『カイエ』、ジャン・グルニエ、アルベール・カミュ、ジョルジュ・ペロス、エミール・シオラン、ロラン・バルトなど多くの作家、詩人、哲学者によって書かれており、フランス文学において断章形式は伝統的であることを紹介し、大岡の先生である寺田透がポール・ヴァレリーの翻訳者であったことからも、大岡はヴァレリーに親しんでおり、断章形式は大岡にとって近しいものだったのではないかと推察した。
まず堀江氏は、各書籍の装丁を考察した。最初の『彩耳記』には、1972年版、1975年版、1979年版の3種類あることを画像で示しながら解説。それぞれの装丁および文字、行間等によって印象が異なることを指摘した。美術に関心の深い大岡が自ら装丁に携わったことは、大岡がどのようなかたちで本を読んでほしいかにも気にかけていたのではないかと推察し、内容と不可分のものとしてテキストの形式、書籍の外観というものに大岡が意識的であったことを指摘した。
また氏は、「文学的断章」連載中の1974年12月号から1976年4月号まで間があいていることに注目した。この中断は1975年1月から1976年12月まで朝日新聞の「文芸時評」を担当することになったためであった。そして大岡の「文芸時評」は、一つの文学作品を取り上げるというより、書き方あるいはテーマを決めてまとめていくという方法を取った、いわば断章であり、ユリイカの「文学的断章」の書き方に非常に影響を受けているとする興味深い指摘があった。
また、「文学的断章」の連載が続いていくにつれ、書き方が変化していくことにも注目する。初期には、アフォリズムのような鋭い断片が並んでいることが多かったが、シリーズが進んでいくにつれて、日記や身辺雑記、若い頃に訳した詩の断片や他者のテキスト、新聞記事の引用、全集の推薦文、追悼文、季節に合ったネタなど、非常に多彩で自由な器になってくると指摘した。時間が輻輳し、短い断章が伸び縮みし、何か見えない蔦のようなものが絡みあい、どんどん育っていくようなかたちになっていくという。
また、大岡が、これらの断章群を書き継ぐ中から、断片と断片のあいだに「波動」が生じ、さらに「うつろい」が生まれるなど、いろいろなものを「合わせ」ながら、長く書き続けることでしか出てこない運動性を予感していたのではないかと、「文学的断章」で引用されたエリック・ギルの『衣裳論』やジャコメッティに関する大岡のテキスト等を読み解きながら指摘した。
堀江氏は、大岡の文学的断章群が、大岡の仕事の柱の一つであり、様々なテキストを入れ込むことによって発酵させ、またそこから外に出していくための重要なホワイエ、あるいは庭のようなものではないかと考察した。物書きとして、大岡が自由に遊んでいるように見えながら、ある意味で最も真剣に取り組んだとても非常に重要な創作の場ではなかったかと指摘して講演を結んだ。
今回、大岡信の仕事における6冊の書籍による「文学的断章」が持つ意味と重要性を深く知ることとなった。
(渡辺竜樹:大岡信研究会会員)
お知らせ:ズームによる第十八回大岡信研究会(講師:堀江敏幸氏)(終了しました。)
大岡信は、第二次「ユリイカ」創刊号(1969年7月号)から「文学的断章」の連載を開始し、 1979年5月号掲載分までを6冊の書物にまとめている。『彩耳記』(1972)、『狩月記』(1973)、『星客集』(1975)、『年魚集』(1976)、『逢花抄』(1978)、『宇滴集』(1980)。これら断章形式の文章が、大岡信の仕事においてどのような位置を占めているのかを概観する(堀江敏幸)。
日時:2020年9月20日(日)14:00~15:30 開場受付:13:20からご入場ください。
形態:ズームによる視聴
講師:堀江敏幸氏(作家)
演題:大岡信「文学的断章」をめぐって
会費:会員(無料)、会員以外の方は1000円を、当日視聴が実現した上で、当日以降9月25日までに郵便振替口座00150-8-450238にお振込みください。
〇参加の申し込みは、こちらから</ をクリックしてお申し込みください。なお、8月31日までにお申し込みの方には当日使用のURLをお送りしました。もし受け取られていない場合は、「お問合せ」からご連絡ください。なお、まだ多少余裕がありますので、引き続きご参加の申し込みを受け付けます。これからお申し込みの方には当日使用のURLをお送りします。
〇ズームの運用テストに参加ご希望の方は、下記の日程からご希望の日時を選び、氏名、希望日時、電話番号(各必須)を明記の上、ホームページの「お問い合わせ」からお申し込みください。テストへの参加は研究会参加申し込みの方に限られます。
9月6日(日) 20:00~20:30;9月10日(木) 21:00~21:30;9月12日(土) 14:00~14:30
講師紹介: 堀江敏幸(ほりえとしゆき)1964年岐阜県生まれ。小説家、フランス文学者。早稲田大学第一文学部卒業。99年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、03年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、04年『雪沼とその周辺』で木山捷平文学賞、谷崎潤一郎賞、06年『河岸忘日抄』で読売文学賞、12年『なずな』で伊藤整賞、16年『その姿の消し方』で野間文芸賞。他の著書として、『郊外へ』『坂を見あげて』『燃焼のための習作』『オールドレンズの神のもとで』、訳書として、ジャック・レダ『パリの廃墟』、マルグリット・ユルスナール『なにが? 永遠が』などがある。なお、大岡信著『紀貫之』(ちくま学芸文庫)に、解説「水底という『鏡』に映す自画像」を寄稿している。
お知らせ:毎日新聞大井記者執筆「大岡信と戦後日本」8月5日、9月2日夕刊掲載
毎月1回連載されいる大井浩一記者の「大岡信と戦後日本」の27回と28回が下記の通り掲載されました。
8月5日(水)夕刊 宇宙連詩まで27 他者との接触に根差して
9月2日(水)夕刊 折々のうた28 詩歌の喜びと驚きを示す
連詩から折々のうたへと大岡信の創造の歩みを時代背景と共に考察しています。是非ともお読みください。