毎日新聞に「大岡信研究会」1月例会の記事が掲載されました
大岡信研究会1月例会について、『大岡信 架橋する詩人』(岩波新書)の著者である大井浩一さんの記事が、「核心にある「放心」の発見語る 吉増剛造さん講演」のタイトルで、毎日新聞2月6日の夕刊に掲載されました。
「初めに吉増さんは、4日前に86歳で死去した同世代の詩人、天沢退二郎さんによる「大岡信の口はいつもおおおと言おうととしてまるく開かれ」といった詩のような言葉で書かれた大岡評を紹介、若いころ「大岡さんに天沢が全身で反応することに、私たちは何か信号を見ていたかもしれない」と鎮魂をこめて話した」
(中略、以下、記事後半より引用)
「評論『うたげと孤心』(79年)で大岡が「うたげ」という言葉について「『掌ヲ打上(うちあげ)』の約」だという明治期の国語辞典の説を挙げていることに触れた。吉増さんは中原中也の詩「悲しき朝」の一行「われかにかくに手を拍(たた)く……」を連想したと述べ、大岡の「中原中也論」から、まさにこの一行を論じた部分を引用した。
「中原中也はこの一句によって(中略)一語一語の中における存在を、放心という一現象の中に拡散させてしまう」という一節で、吉増さんは「大岡さんの全活動の核心近くには、この放心がある」との発見を語った。「うたげと孤心に放心を足すことで、大岡さんのビジョンはさらに創造的な波動を加える」と強調した。用意した原稿をもとに、新たに言葉を探りながらの話は聴衆の感動を呼んだ」
生の声で取材できたことに大井さんも満足されているようでした。
吉増剛造著『我が詩的自伝』、『詩とは何か』いずれも 講談社現代新書の制作に関わられた林浩平さんも会場参加されて、刺激的な例会となりました。
(西川敏晴記)